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岡山県湯原温泉周辺には、足、真賀、下湯原、郷緑と4カ所の小温泉が点在、湯原温泉郷と呼ばれている。一軒宿の郷緑温泉は岩盤からお湯がわき出す足元湧出(ゆうしゅつ)泉。目をこらすと湯船底の岩は少し緑がかり、割れ目からお湯がわいている。ざぁざぁとお湯が流れ出し、一人で入っているのがもったいないぐらい。ぬるりと肌を包む“ウナギの湯”のような感触。なんていい気持ちなんだろう!
このお湯、皮膚病などに効能があるとのこと。「ウチの父親は香川県の出。ある日、足におできのようなものができて医者に行っても治らない。ツテをたどって郷緑で1週間ほど湯治をしたところ、キレイに治ったんです」とご主人。郷緑の湯にほれ込んだお父様に、元の持ち主が、「そんなに気に入ったのならココをやってみないか」と持ちかけ、昭和31年、香川から移住した。「作り話のようだけど、本当の話なんですよ」。お湯は5カ所から自然湧出。豊富な温泉を使って今ではスッポンを養殖。丸鍋の食べられる宿でもある。
真賀温泉の共同湯「真賀温泉館」は、昔むかし、お殿様が幕を張って入浴をした「幕湯」が有名。以前は屋外の野湯であったが天保年間に建物ができたのだそうだ。混浴の幕湯のほか男湯、女湯、貸し切り風呂がある。訪れたとき幕湯は男性客で混雑。女湯に入ることに。女湯も幕湯から続く岩盤上に浴槽が作られている。浴槽真ん中の岩に竹筒が差し込まれ、先からお湯がわいている。ぬるめのお湯に浸かりながら、常連さんたちが話す、話す…、で、時々、タオルを竹筒の差し込み口に巻き付けると、先端からひゅっとお湯が噴き出してくる。ここで目を洗ったり、お湯を飲んだり…。「やってみなさい」とすすめられて試してみると、目はすっきりとするし、お湯は甘みがあっておいしい。湯にタオルを浸けるとは!などと目くじらをたててはいけない。これが真賀温泉の昔からの流儀なのだ。
温泉ライター歴19年。国内外で浸かったお湯は千湯以上。肌でpHを感じ、飲んで湯の成分を確かめるのを信条に、温泉行脚の日々を過ごす。温泉入浴剤にもこだわりあり。
旅行誌などで温泉記事を執筆中。日本温泉地域学会員
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