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世に“食堂系温泉”なるジャンルがあると知ったのはつい最近。敬愛する女性ライダー・滝野沢優子さんに教えていただいた。滝野沢さんのおすすめは福島県は矢吹町にある「いやさか」。定食系の店で、手ごろでおいしい食事も魅力らしい。
福島県南部、矢吹町は有名観光地でも温泉地でもない。20年以上、日本各地を取材してきたがこの町に行くのは初めてだ。インターから10分足らず、セブンイレブンのはす向かいに「いやさか」は立っている。ぱっと見、温泉があるようには見えない。普通の食事処(どころ)だ。メニューは1000円程度の各種定食やうどんなど。暑い日だったのでサラダうどんを注文する。まわりは普通に食事をしている人ばかり。温泉がどこにあるのかが気になる。「入りたい」と伝えると、店の右手奥、靴を脱いであがった先に温泉があるとのこと。「食事をすると1回無料。お風呂だけなら300円です」と教えてくれた。
おいしいうどんを平らげた後、温泉へと向かう。男女別に内湯と露天風呂とがあり、どしどしお湯がかけ流されている。洗い場にもお湯があふれ出していて気持ちいい。露天は屋根がなく開放感抜群だ。黄色味がかったお湯はつるっとした肌あたり。いいお湯である。矢吹町にはこのほか、あゆり温泉、観音湯と2カ所の温泉がありいずれもアルカリ性の単純温泉。湯量豊富で湯温もある。知る人ぞ知る温泉地だったのだ。
いやさかの湯が出たのは昭和63(1988)年。「食堂はもっと前からやっていた」のだそうで、まずは食事ありきの温泉である。温泉に食事場所が併設された施設は多いが、食事がメインで温泉があるという店は少ない。食べ物も手ごろでおいしく、かつお湯もいい。
“食堂系”、ハマリそうな温泉ジャンルである。
温泉ライター歴20年。国内外で浸かったお湯は千湯以上。肌でpHを感じ、飲んで湯の成分を確かめるのを信条に、温泉行脚の日々を過ごす。温泉入浴剤にもこだわりあり。
旅行誌などで温泉記事を執筆中。日本温泉地域学会員
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