
旅の間には見慣れない食べ物に出会うこともあるだろう。たとえば鮮やかなオレンジ色のパイン・マッシュルーム(マツタケ)や、雨の後にはぬるぬるになることから「スリッパリー・ジャックslippery jacks(ヌメリイグチ茸)」と呼ばれるキノコなどもそうだ。おもしろい形状で目を引く(おいしいとは限らない)農産物の多くが、オーストラリア原産である。また、カンガルー肉は紫がかった赤い色で、甘みの強い肉だ。フィレ部分は柔らかく脂肪が少ないので、レアで食べるのがいい。尾の部分は牛テールと同様の方法で煮込み料理にすることが多い。北部へ行くとワニ肉にお目にかかることもある。白い身は魚に似ていなくもないが、歯ごたえは鶏肉に近い。アウトバックでは、ウィッチティー・グラブwitchetty grubsと呼ばれるボクトウガの幼虫を食べてみないかと勧められるかもしれない。大きな芋虫で木の実のような味だが、噛むとグニャッとした感触だ。また熱帯地方にはグリーン・アントgreen antがいる。食べ方は、アリをつまんで、かすかに酸味のある腹部分を噛み切るのだ。ミツアリsugar antの腹には甘い蜜が詰まっているので、こちらも同様につまんで腹の先のほうを噛み切る。
オーストラリア原産の植物には、進化の結果、到底口にはできないような不快な味の成分を含むようになったものが多い。それでも、非常に辛いブッシュ・ペッパーbush pepperや甘い芳香のあるレモン・マートルlemon myrtle、アニシード・マートルaniseed myrtle、コーヒーにも似た粒のワトル・シードwattle seed、強烈な紫色のローゼルrosellaの花、ものすごく酸っぱいデビッドソン・プラムdavidson plums、軽い酸味のある野生のトマト(アクジュラakudjura)などを試してみよう。ハワイの特産品になっているマカダミア・ナッツはここでも食べることができる。
そしてオーストラリアで最も「ワイルドな」食べ物がベジマイトVegemiteだ。イースト抽出品から作る恐ろしく塩辛いペーストで、オーストラリアの代表的な食品である。トーストに塗って食べるのがごく一般的だが、チーズ・サンドイッチとあわせるのも悪くない。海外に行くときはホームシックにならないよう持参するという人も多いし、そばかす顔の少年がビンに指を突っ込んではベジマイトをなめているのもよくある光景だ。よそから来た人たちは「下品なひどい味でとても食べられたものではない」と思うらしいが、彼らにいったい何がわかるというのだろうか。
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