
初期のヨーロッパ人入植者や探検家らは、ほとんどの場合すべてのアボリジニを「野蛮人」、「未開人」として土地から追放した。アボリジニが土地との深い、精神的な結びつきを持っていること、そして彼らの土地とのかかわりについて、白人入植者が理解し始めるまでしばらくの時間が必要だった。
伝統的なアボリジニの宗教では、人間が存在する以前の天地創造の時代(ドリームタイムという)から現在にいたるまで存在する精霊に対する信仰を中心としている。この精霊が自然界のすべてのものを創造し、生きとし生けるものすべての祖先となったのである。この精霊はさまざまな形をとっていたが、行動は人間と同じで、あちこちを移動するときには、通過した場所を示す目印を残した。
超自然的存在であるにもかかわらず、先祖たちは年をとり、最後には世界の始まりの時代に目覚めた場所、つまり眠りへと帰って行った。そこで精霊は永遠の力となって新しく生まれる生命に息を吹き込み、自然界の出来事に影響を及ぼすようになったのである。それぞれの先祖の霊的エネルギーは、ドリームタイムにたどった道に沿って流れ、樹木、丘、浅い窪地などその活動の物的証拠を残した場所で最も強くなっている。こういった場所は「聖地」と呼ばれている。最近では、アボリジニ以外の人々にも聖地の重要性が広く認識されており、ほとんどの州政府がこれらの聖地を法的に保護している。
人間、動物、植物はそれぞれ2つの霊魂、つまり死すべき霊魂と不死の霊魂を持っていると信じられている。不死の霊魂は、特定の先祖の霊の一部で、死後その先祖の聖地に戻ってくるが、死すべき霊魂はそのまま消えて忘れ去られてしまう。人はそれぞれ、その先祖の霊に関係ある土地であることを示す聖地と霊的なつながりを持っている。定められた儀式を執り行い、先祖の行いについての歌を歌うことによって聖地を守ることは、一人ひとりの義務である。こうすることによって、先祖が創造した秩序が保たれるのである。
人間と先祖の霊をつなぐものは、トーテムと呼ばれ、一人ひとりが自分のトーテム、またはドリーミングと呼ばれるものを持っている。これらのトーテムには樹木、イモムシ、ヘビ、魚、カササギなど多くの形がある。これらの力強い創造主である先祖が大自然の中に存在し、恵みをもたすことも、災害をもたらすこともできると歌の中で歌われている。歌には実際的な意味も含まれていて、狩りに最適の場所や時期、それに干ばつの時に水を得られる場所を教えている。また、歌は血縁関係を定め、さらに結婚相手として最適の人は誰かを教えるのである。
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