
2003年1月中旬、数カ所で発生した大規模な山火事が大きなひとつの山火事に発展し、キャンベラ周辺の西側と南側に襲いかかった。週末だけで、4人が死亡、530軒の家屋と30の農場、由緒あるストロムロ山天文台Mt Stromlo Observatory、ナマッジ国立公園の広大な土地が焼失した。5500ヘクタールあったティドビンビラ自然保護区Tidbinbilla Nature Reserveのほとんどの面積が焼失し、そこに生息していた野生動物の大半も焼け死んだ。唯一、生き残った20頭のコアラは、「ラッキー」と名づけられて市立動物園で手当てを受けた。火災は終息したが、テルストラ・タワーTelstra Tower展望台からは、焼失した広大な面積を見渡すことができる。ブラック山Black Mountainのふもとで消し止められたことを物語るように、山のふもとに沿って焼けたところが黒い弓形になっている。
鎮火後、救急体制の対応能力や一部の住宅地にまで自然発火による火事がおよぶ危険について、「ブッシュ・キャピタル」としての対応の必要性が盛んに議論されるようになった。一方、自然公園では、黒焦げになった幹や地面から青葉が芽を出し、生き残った野生動物が再び姿を見せ始めるなど、驚くべき再生プロセスが動き始めていた。オーストラリアの森林地帯とそこに生息する動物が元通りに回復するのにどれほどの時間がかかるのか、また郊外周辺でどれほどの種類の植物が繁茂できるようになるかはっきりしないが、自然の回復力が示されたことは、生命が途切れなく続いていることを示す歓迎すべきしるしである。
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