韓国

マナーと習慣

韓国の食事に関する概念は、ほかの国々とはまったく異なっている。西洋では、ご飯、スープ、漬け物は付け合わせとして考えられるが、韓国ではまったく逆だ。ご飯、スープ、キムチkimchiは、食事の中心に位置づけられており、ほかの食材はすべてそれに付随するものなのだ。メイン料理を注文すると、ご飯、スープ、キムチは自動的に運ばれてくる。さらに、食卓に並んだ料理の塩辛さ、温度、配色のバランスがとれるよう、何種類かのパンチャンbanchanをとりあわせて出してくれる。

料理の格式は、パンチャンbanchanの品数で決まる。品数は3品、5品というように、奇数で増えていく(たれや調味料、薬味は数に入らない)。たとえば、5楪のご膳(オチョプパンサン5-cheop bansang)の場合は、魚の煮物、焼肉、野菜や豆腐の付け合わせ数品が、個別に皿や浅い碗に盛られて出てくる。最も豪華な12楪のご膳(スラサンsurasang)は、王にだけ出されていた。一般のレストランでも、韓国料理を頼むと必ず各種パンチャンbanchanがついてくる。韓国人の多くは、さまざまな食材を一つの皿に盛って出すという西洋式のやり方をさびしく感じるようだ。

食事客は昔から、やや高くなった床(下にオンドルondolの暖房設備がある)に、直接座布団を敷いて座っていた。座敷に上がる前に、必ず靴を脱ぐこと。靴箱や靴棚がある場合はそれを利用し、ない場合はそのままおいておく。靴の盗難については心配ご無用だ。高級レストランでは、店側で収納・保管しておいてくれることもある。席に座ると、おしぼりが来る。これを使うと、暑い時期にはさっぱりと涼しくなる。

テーブルセットがされていない場合は、箸や長い柄のスプーンが入った細長い箱が出してある。箱のそばに座った人は、食器具をテーブルを囲む人々にまわす。高級なレストランの多くは、西洋の概念であるナプキンを採用しているが、ほかの庶民的な店ではトイレットペーパーが一巻まるごと来ることもあるので、驚かないこと。

食事は全員で取り分けて食べるので、ご飯やスープ以外の料理は全部テーブルの中央におく。同じ料理をつつくと、良好な関係を築くことができるといわれているのだ。実際にやってみたわけではないが、韓国の食卓を上から見下ろすと、すごい速さで進んでいくチェッカーのゲームのように見えるはずだ。食事客はある皿から少し、別の皿からもう一口、それからご飯を食べ、スープを一口……というように、テーブルのあちこちから食べ物をとる。このスタイルで食べられるようになったら、韓国人の連れに、“韓国人みたいな食べ方だ”、と言ってもらえるだろう。

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