
数年前、私たちはネパールに家族旅行に行くことにした。夫婦揃って、ネパールの広い範囲に渡る旅行やトレッキング経験があり(ただし子連れではなかった)、2人の子をつれて再訪するにはいい場所だと思われたからである。我が家の子供は2人で、当時6歳のエラと2歳半のヴェラ。結果的には素晴らしい選択だったと思うが、我ながら正気を疑うような瞬間も確かにあった。なにせ2人の子供を世界のほぼ反対側まで連れて行き、カトマンズの空気汚染はいうまでもなく、あらゆる種類の南京虫の類にさらすことになったのだから。それも、ただ雪をかぶった山をいくつか見るという目標のためだけにである。
この旅の主な目標のひとつは、山での1週間のトレッキングだった。相談をもちかけた人々の多くは、幼い子2人を連れて行くのはちょっと野心が過ぎるのではないだろうか、という考えだったが、そのためかえって実現しようという我々の決意は固くなった。もしうまくいかなければ、いつでも引き返せるのである。ベースポイントはポカラPokharaになる予定だった。カトマンズKathmanduからポカラまでは、でこぼこのほこりっぽい道を7時間も行くが安くつくバス旅か、よりやさしく景色もよく、決して高すぎはしない1時間の飛行機旅行という選択肢があった(我が家は後者を選んだ)。
予算的にはかなり厳しい旅行だったので、すべてが快適にセットされているトレッキング・ツアーに参加する余裕はないと考えた。代わりに、ポカラで多くのトレッキング代理店と交渉し、ついにポーターおよびトレッキング出発地点までの交通手段の手配を十分に行ってくれると思える代理店に落ち着いた。3人のポーターを雇う計画となった。リュックサックを運ぶために2人、それにほとんどはヴェラ、歩き疲れたときにはエラを運んでもらうために1人。結果としては、エラはほとんど全行程を自力で歩いた。これは娘のかなりの努力の成果だろう。ヴェラはドコdoko(大きな籐製の円錐形かご)に入りポーターに背負われて運ばれた。地面から上に離れた位置は娘にとって安全に感じられたようで、途中で出会うトレッカーや地元の人たちに、しかめ面をしてみせる度胸まででてきた。彼女の旅行方式は確実に地元の人と外国人双方の興味の的になった。娘を安全に詰め込んでおくために、まず子供用リュックに座らせて、それをかごに詰めて、寝袋や、日が経つに連れ着替えた暖かい衣類を使って隙間を埋めた。
ポーターたちの子供らへの対応は素晴らしかった。時には旅回りの一座になったような気がしつつも、十分な人数のポーターを雇って大きい荷物から解放されたというのはそれだけの価値があった。ポーター1人1日当たりの賃金はUS$5前後であり、その金額に十分に値した。
全体としてトレッキングはとてもうまくいったが、初期のうちに判明したのは、1日に歩けるだろうと見込んでいた距離は長すぎたということだ。歩調をゆるめ、基本的にはエラのペースにあわせるようにすると、事態はよくなった。歩くこと自体は、主にゆっくりペースだったことが幸いしてそう難しくなかったが、標高3500mで実際に寝起きしたわけで、この高度は子供たちの呼吸に響いた。6日間で、我々は快適に、ビレタンティBirethantiからジョムソン・トレッキング・コースJomsom Trekのゴレパニ/デウラリGhorapani/Deoraliまで、アンナプルナ内院Annapurna SanctuaryのガンドルンGhandrukを横断し、ビレタンティまで戻れた。
道中、数軒の茶店に寄ったのが、子供たちにとって一番印象的だったようだ。到着するとすぐ、子供たちはロウソクで照らされた煙っぽい台所の奥に姿を消し、しばらくたつと、その家の親切な働き者の女性たちがくれた茹でたジャガイモなどのおやつを振り回しながら、顔を輝かせて出てくるのがいつものことだった。
トレッキング中に直面した最大の問題といえば、ヴェラがかかったジアルジア症(寄生虫が引き起こす腸の疾患)がある。これがまた第2の大問題も引き起こした。汚れた紙おむつをどう処理するかという問題だ。解決策としては、汚れたおむつをしっかりまるめ、丈夫なビニール袋に入れて、きちんと捨てられる場所に着くまで運ぶという手段をとった。こう聞くと大変そうだが、実際はそれほど不快ではなかった!
水の消毒に使うヨードの嫌な味をごまかすのに粉末調味料が役立ったが、子供らは2人とも普通のペットボトル入り飲料水以外は頑として口にしようとしなかった。
ヒュー・フィンレー
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