
ヒマラヤ山脈の高峰にぐるりと囲まれているネパール王国。凍りつくほど寒い山々と高温多湿なインドの平原が出会う、その大地は永遠の魅力をたたえている。ネパールには太古からの綿々たる歴史、多彩な文化や人々、素晴らしい景観、そして、ここでしか味わえないトレッキングコースが待ち構えている。
ネパールの歴史は、肥沃なインドの平原と砂漠化したチベットの高原の中間にあるという地理的な条件で形成された。インドと中国という2つの大国にはさまれているだけに、間をうまく取り持つ仲介役もこなすと同時に、時として、両大国の侵略の脅威にもさらされる。一方、国内的にも、カトマンズ盆地にある素晴らしい3つの小王国、すなわち、カトマンズKathmandu、パタンPatan、バクタプルBhaktapurを中心とした、ヒマラヤ随一の成熟した文化を生み出すほどのダイナミックな歴史を持つ。ここでは、曲がりくねった路地裏で、また数々の寺社が散在する隠れ家のような中庭で、古代の美と現代の猥雑さが入り乱れながらも、商人と聖人はそれぞれの生活をしっかりと営んでいる。こうした町並みの力強い風景に触れていると、訪れる者の意識は思わず中世へと押し戻されてしまう。
カトマンズ盆地の古びた寺院や宮殿、また渓谷を取り巻く峰々、その背後には“雪の家”(サンスクリット語で“ヒマラヤ”)が超然とそびえ立つ。この自然界の王国は、全世界のトレッキング愛好家、登山家、冒険家を惹きつけてやまない。幸運にも今では、ヒラリー、メスナー、ボニントンなどという有名な登山家でなくても、世界に冠たるこの雄大な山を誰でも探索できる。ちょっとした計画と、ちょっとした健康管理で、ほとんどの旅行者が道なきヒマラヤ高地に至るコースを歩くことができるのだ。
そのほかに、世界でも一、二を争う急流をラフティングやカヤックで下ったり、マウンテンバイクで駆け回ったり、あるいはチトワン国立公園Chitwan National Parkで夜明けの霧が漂う中、象の背からトラやサイを見るという、ネパールならではの体験もできる。どれを楽しむにしろ、わくわくどきどきの体験は間違いなく、ネパールでは数え切れないほどの感動が味わえるだろう。多くの来訪者は冒険が待ち受けるネパールに魅力を感じてやって来るが、この地を去る頃には、友好的で寛容なネパールの人たちの心根や、素晴らしく豊かで多様な文化にもすっかり心を奪われてしまうだろう。
トレッキングを通じてなじむ自然界のリズム、カトマンズの宮殿レストランで聴くタブラ太鼓のリズムなど、ネパールは誰でも何かが得られる、驚くほど多様な側面を持っている国だ。
一度の訪問で満足できる国ではない。だからこそ、ネパールを訪れるほとんどの人が、自分の国に戻ると真っ先に、次回の訪問を計画し始めるのだ。
Text & maps © 2008 Lonely Planet Publications. All rights reserved.
Photos © 記載の写真家。Lonely Planet Images より掲載、使用許可は右記のURLから可能 www.lonelyplanetimages.com
内容のいかなる部分もロンリープラネット社の許諾なしに複製・複写・放送・データ配信することはかたくお断りします。内容は、ロンリープラネット社のガイドブック英語原書『Nepal』の日本語版『ネパール』(メディアファクトリー刊)から引用しています。
執筆者、コンテンツ提供者と日本語版発行者である(株)メディアファクトリーは可能な限り正確な情報を記載するよう努めているが、本情報の使用により被った一切の損失、損害に対しては責任を負うものではない。