
建築マニアからも人気の「注射器」ビル
グランド・セントラル駅の向かいにある、高さ1048フィート(314.4m)のクライスラー・ビルは、2005年春に75周年を迎えた。そして建設当初から、一般の人々にも建築マニアにも愛される人気の建築物として、広く知られている。 写真を拡大する⇒
ウィリアム・ヴァン・アレンの設計で、1930年に建てられたこのアール・デコの傑作は、ごく短い間世界一高いビルとして君臨していたが、完成の数カ月後にはエンパイア・ステート・ビルに追い越されてしまった。このビルは、ウォルター・P・クライスラーと彼の自動車帝国の本社として建設されたものだ。それにふさわしく、ボンネットのエンブレムのようなガーゴイル(怪物の彫刻)、抽象的な自動車のデザイン、ラジエーターグリルを模した鉄葺きの塔と、自動車文化をたたえるかのような外観なので、双眼鏡でじっくり見てみよう。
秘密裏に建設された高さ200フィート(60m)の鉄の塔(「バーテックス(頂)vertex」と呼ばれている)は、ビッグサプライズとして披露するために、偽の頂上部で隠して建設された。ウォール街にニューヨーク一高いビルを建てているつもりになっていたライバルの建築家は、この尖塔にショックを受け、落胆したという。夜、ライトアップされたクライスラー・ビルの姿ほど感動的なシンボルは、そうあるものではない。
最上階にあるのは、かつてはバーとして使われていたクラウド・クラブCloud Club。開発業者たちは長年、このビルの一部をホテルに変えようと企んでいるが、今のところ、その計画は夢物語にすぎない。
クライスラー・ビルにはレストランも展望台もない(弁護士事務所や会計事務所など、おもしろみのないオフィスでいっぱいだ)。それでも、化粧板が張られた精巧な造りのエレベーター(使われている木材は、タモノキ、オリエンタル・ウォルナット、キューバ・マホガニー)や、ふんだんに使われた大理石、さらには産業の前途を描いた1階の天井画(97×100フィート〈約29.1×30m〉で、世界最大とされている)と、見どころはいろいろあるので、ぜひ中に入ってあちこち歩いてみよう。
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