

グローバルな世の中で、起こるべくして起こった(と世間は言う)言葉の融合(フュージョン)がある。1999年にフランスのジャーナリスト、アレクサンドル・カマスとエマニュエル・リュバンがフードfoodとフィーリングfeelingの2つの英語を合わせて新語を作った。フーディングfoodingだ。これは、フーリングfooling(foolは「愚かな」foolingは「おふざけ」)ではない。お皿の上の料理の中身だけでなく、その場のフィーリング(雰囲気、インテリア、ロケーションなど)も楽しむという意向らしい。まもなく、この言葉は、トレンディなbrancheパリっ子のキーワードとして口にされるようになった。そればかりか、新語発足から1年もしないうちに、11月後半から12月初旬にかけて“フーディング・フェスティバルFooding Festival”が毎年催されるようになった。追い討ちをかけるように、「フーディング・ガイドブック」が書かれ、「フーディング」用語を解説した辞書が発刊され、リベラシオン紙Liberationにいたっては、レストランガイドの欄を“フーディング・ガイドLe Fooding Guide”と呼び始めた。
この新造語、いやになるほどあちらこちらに氾濫し、これでもかというぐらい目にする羽目になってしまった。しかし「フーディング」とは一体全体何なのだろうか? おかしなことに(どうせ多分、予測はついていたが)誰もこの単語の本当に意味するところをわかっていないようなのだ。フドゥールfoodeur(“フーディング”する人たち)が行くような場所は、スプーンSpoonだったり、ポンピドゥー・センターPompidou Centreの気取ったレストラン、ジョルジュGeorgesだったり、ラトリエ・ド・ジョエル・ロビュションL’Atelier de Joel Robouchonだったり、まるで一貫性がない。これでは、結局フード自体はフーディングの大切な要素ではないようにさえ思えるではないか。真の意味でトレンディなパリっ子は味よりも見た目を重視している。フーディングの真髄とはつまり、おしゃれなスポットのありきたりの味に法外の値段を払う方が、どこかの冴えないレストランでとびきり美味しい食事をするよりずっとよろしい、ということなのであろう。まったくその通り。ロンドンっ子に聞いたらきっと賛同してもらえるはずだ。
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Jean-Bernard Carillet
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