
戦略情報局(CIAの前身)に勤務していたこともある、才気あふれるビジネスマン、ジム・トンプソン。タイシルクが世界的な人気を得たのは、ひとえにこのアメリカ人実業家のおかげと言ってよい。トンプソンはニューヨークで建築家として出発したが、第二次世界大戦中、アジアに配属された。戦後はタイシルク産業を蘇らせることに心血を注ぎ、結果として莫大な財産を築くこととなった。以前の彼を知る同僚たちの驚きをよそに、トンプソンは「現地の人と同じ生活をする」ようになり、先祖伝来の家宝になるようなアジアの品々を身の回りに置き、ついにはタイの伝統的な木造邸宅をバンコク中心部に建てた。
1967年、トンプソンは休暇でマレーシア西部のキャメロン高原を訪れたまま、ぷっつりと消息を絶った。その理由についてはあらゆる謀略説が飛び交った。トラに襲われたのでは?誘拐の末、殺害された?あるいは、戦略情報局時代に受けた訓練をいかして全くの別人になりすまし、どこか他の場所で新しい生活を始めたのではないか。いずれにせよジム・トンプソン・シルク・カンパニーやジェームズ・トンプソン財団、それに素晴らしいジム・トンプソンの家を通して、彼が残したものは永遠に生き続けるだろう。
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