
タイはワシントン条約(略称Cites)の締約国だが、この条約は規制がゆるいことで有名だ。ためしにバンコクのチャトゥチャック・ウィークエンド・マーケットChatuchak Weekend Marketの動物の売り場を歩いてみれば、この規制がいかに公然と無視されているかがわかる。すみかを奪われたため、あるいは環境破壊や密猟のため(密売や食材として)、タイに生息する哺乳動物、爬虫類、魚、鳥たちは、絶滅の危機にさらされている。その種類の多さには気がめいるほどだ。
虎は漢方薬市場に向けてさかんに密猟され、残っているのは300頭にも満たないと考えられている。その生息地は主として、カオ・ヤイKhao Yai(バンコクの北東)、ケーン・クラチャーンKaeng Krachan、カオ・ソックKhao Sokの3国立公園だ。野生のアジア象、インディアン・タピー、ツキノワグマ、ハイイロヤギュウ(野生の牛)もまた、ますます少なくなってきている。希少なジュゴン(マナティーあるいは海牛とも呼ばれる)もタイ南部のトラン周辺に生息するだけだが、これも生息場所の減少や観光船のスクリューが原因で生存が脅かされつつある。
タイの海洋生物の多くは危機的状況下にある。その中には、タイ近海に生息し一貫して減少傾向にあるジンベイザメやウミガメも含まれる。ウミガメは、卵、肉、甲羅のために捕獲され絶滅の危機に瀕している。ジンベイザメ以外のサメも、多くはフカヒレスープ用のヒレを手に入れようとする捕獲のせいで絶滅に向かっている。最も危機的状況にある鳥はクロハラシマヤイロチョウだが、アナツバメも、食用になるその巣を採取する人々の乱獲によって危険な状況におかれている。希少な哺乳動物、鳥類、爬虫類、昆虫、貝、熱帯魚が世界中のコレクターに日常的に密輸され、あるいは観光みやげ用に殺されている。
しかしタイの人々も徐々にではあるが生物保護の重要性に目覚めはじめ、今では多くの動物園が人工繁殖や動物保護に積極的に乗り出している。プーケット・ギボン・リハビリテーション・センターPhuket Gibbon Rehabilitation Centerやワイルドライフ・フレンズ・オブ・タイランド Wildlife Friends of Thailandのような野生生物保護組織は、一般の人々にタイに生息する野生動物についての知識を広め、野生動物を救助して自然に帰すプロジェクトにも取り組み始めている。
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